縁灯-ゆかりび- 心と星の手帖

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呼吸が苦しい患者さんに、私たちは何ができるのか。呼吸リハから学んだこと。


呼吸器疾患の終末期ケア|急性期〜在宅までを支える包括的呼吸リハビリテーションとは

2025年11月19日、終末期ケア専門士のセミナーで東京医療学院大学 保健医療学部リハビリテーション学科 基礎教員 准教授 秋保光利先生による
「~呼吸器疾患の終末期に挑む!~ カギとなるのは呼吸リハビリテーション ~」
を受講しました。

 

現場での悩みや疑問に直結する内容が多く、自分の経験を振り返る機会にもなりました。

 

この記事は、学んだことをまとめつつ、同じように呼吸器疾患の患者さんのケアに関わる方のヒントになればいいな、と思って書いたものです。

 

本記事では、急性期から在宅期までの呼吸リハビリテーションのポイントと、包括的呼吸リハが支える終末期ケアの実際を、 看護師・リハ職・在宅医療に関わる方にも分かりやすく解説します。

本記事の概要

呼吸器疾患の終末期に向き合うとき、患者さんは日々ゆっくりと、しかし確実に「呼吸」の変化と向き合うことになります。
息を吸う、吐くという当たり前の行為が一つひとつ努力を必要とし、身体・心・生活すべてに影響が広がっていきます。

その苦しさに寄り添うために欠かせないのが「呼吸リハビリテーションです。
呼吸法や運動の練習だけでなく、患者さんの生活全体を支える大きな柱となる存在です。

本記事では、急性期、在宅期、そして包括的呼吸リハの視点から「呼吸器疾患の終末期ケア」を丁寧にまとめていきます。

急性期の呼吸リハビリテーション──「安全」と「病態安定」を最優先に

急性期の呼吸リハは、とにかく「無理をさせない」ところから始まります。
呼吸器疾患の患者さんは、動作に伴って呼吸数が増え、換気が上がり、酸素化が一瞬で低下することがあります。

「動かす」ことは決して悪いことではありません。
しかし急性期では、どこまで動けるかよりも、 どこまでなら悪化させずに済むか が重要です。

急性期に大切なポイント

  • 呼吸困難の増悪を避け、過換気を起こさない
  • SpO₂・呼吸数・心拍数を常に確認する
  • 座位・立位・短い歩行など、安全な範囲での離床を進める
  • 在宅復帰につながる「最小限の活動」を確保する

たった数歩の歩行でも、呼吸器疾患の患者さんにとっては大きな挑戦です。
呼吸リハの役割は、その挑戦が「危険ではない範囲で行えるように」支えることです。

急性期の家族への説明

急性期でよくあるのが、「もっと歩かせたらよくなるのでは?」と心配するご家族とのギャップです。

実際には、無理をさせるとすぐに呼吸が破綻するため、 “動かしたい気持ち”より“守るために止める勇気” が求められます。

このフェーズは、患者さんも医療者も「慎重さ」が一番の味方になります。

在宅期の呼吸リハビリテーション──生活そのものがリハになる

急性期を乗り越え在宅へ戻ると、次の主役は「生活そのもの」です。
息苦しさは、家事、移動、入浴など日常のすべてに影響します。

だからこそ在宅期の呼吸リハは、生活動作と呼吸を一体として捉えます。

在宅期に大切な視点

  • 「できる範囲のまま続ける」生活を一緒にデザインする
  • 家の中の動線を整え、途中に休憩ポイントを作る
  • 呼吸困難やSpO₂のセルフモニタリングを支援する
  • 酸素の使い方(流量調整・運動前の設定)を覚える
  • 「息苦しさが怖い日」にも寄り添い、話を聞く

生活動作の工夫の具体例

  • 廊下に椅子を置き、数メートルごとに小休憩を挟めるようにする
  • 階段は数段ごとに立ち止まり、口すぼめ呼吸で呼吸を整える
  • 入浴前に一時的に酸素流量を増やし、入浴後には状態を確認する
  • 料理はできる限り座位で行い、必要な物は手の届く範囲にまとめておく

在宅期の呼吸リハは、 「生活に負けない工夫を積み重ねるケア」 と言えます。

続けるほど患者さん自身の「できること」が増え、自立と自己効力感が育っていきます。

包括的呼吸リハビリテーション──生活を丸ごと支える6つの柱

呼吸器疾患のケアは「呼吸練習」だけでは成立しません。
息苦しさは身体・心・生活すべてに影響するため、広い視点で支える必要があります。

そこで重要になるのが、包括的呼吸リハビリテーションです。

① 呼吸理学療法

呼吸法、排痰の工夫、胸郭ストレッチなどで呼吸の「質」を整えます。
終末期では、特に安楽な呼吸のための体位調整が大きな意味を持ちます。

運動療法

筋力低下を防ぎ、動ける身体を保つための運動です。
終末期では、負荷を上げることよりも 「苦しさを増やさず動ける方法」 を重視します。

薬物療法

吸入薬やステロイド、去痰薬などは、呼吸リハとセットで効果を発揮します。
正しい吸入方法やタイミングを覚えることが、呼吸のしやすさと安心感につながります。

④ 酸素療法

在宅酸素は「安心して動くための道具」です。
流量の調整や運動前後の使い方を一緒に確認し、日常生活への不安を減らしていきます。

⑤ 栄養管理

呼吸は胸やお腹の筋肉が動くことで成り立っているため、栄養状態がすぐ呼吸に響きます。
終末期では、「少しでも美味しく食べられるもの」を一緒に探すことが、 生活の喜びと呼吸の安定の両方につながります。

⑥ 患者教育・生活支援

動作のコツや、息苦しいときの対処法、増悪のサインの共有など、 「自分で自分を守れる力」 を一緒に作っていく大事な部分です。

終末期では特に、「今の自分でできる生活」を一緒に作っていくことが、 患者さんの尊厳を支える土台になります。

終末期に向かう中で、呼吸リハビリテーションが残せるもの

呼吸器疾患が進行し、終末期が近づくと、 「改善を目指すリハ」から「安楽のためのリハ」へと目的が変わっていきます。

  • 呼吸が楽になる体位を一緒に探すこと
  • 不安を和らげる声かけや関わり方を工夫すること
  • モルヒネ導入前の意思表出をサポートすること
  • 家族が最期までそばにいられるような環境を整えること

呼吸リハビリテーションは、筋力やADLを支えるだけのものではありません。

苦しさを軽くし、その人がその人らしく過ごすための時間を守るケア。

最期を迎えるその瞬間まで、患者さんの「息」と「生き方」に寄り添い続ける方法の一つが、 呼吸リハビリテーションなのだと思います。

 

おわりに

秋保先生のお話のなかで、「餅は餅屋で」という言葉が印象的でした。

よくある表現ではあるのですが、私のなかでリハビリは“なんだか難しいもの”という先入観がありました。

リハビリは必要なんだけど、どうすれば・・・。
リハビリ介入しているから大丈夫。
(看護師サイドでそれ以上追加での実施等はしない)

そんな風に思っていましたが、そうではなく、
プロフェッショナルに相談し、アドバイスを受け、知識を得たうえで
看護師としても積極的に関われるのだと気づきました。

今回の講義では、呼吸リハビリとしての知識だけでなく、
“リハビリとの関わり方”そのものについて考えることができました。

今後関わる患者さんがよりよい生活を送れるよう、
この経験を活かしていきたいと思います。

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